これが解けるか!

Can this be solved!

これが解けるか!

ガルツセット

 午後3時、土曜の部活を終えて帰路につこうとしていると、僕を呼びとめる声が聞こえてきた。

「ソラ先輩」

 春真だ。走ってきたからなのかどうかはわからないが、少し息が荒い。

「なんだ、春真か。どうしたの」

「一緒に帰ろうかと思ったんです。今僕も帰ろうとしていたんですが、ソラ先輩の姿が見えたんで走ってきたんですよ」

 おいおい、そう思ってくれるのはうれしくないわけじゃないけど、このセリフ、お前よりも女子にいってもらいたかったよ。

 ま、そんなこと言ったってしかたないんだけどさ。

「わざわざ走ってまで追いかけてきたのか。そりゃまたお疲れさん。モテるねー、僕も。相手が男じゃなきゃもっとよかったんだけどな」

「先輩、そんなこと言って、モテてるじゃないですか。知ってるんですよ、僕」

 何の話だろう。わからない、という顔をしていると、春真が続けた。

「先輩、頭はいいし、みためもいいし、寡黙だけど話は面白いしで割りと女子から評判いいんですよ。知りませんでした」

 知らなかった。最近、勉強と部活とバイトとブログしかしてなかったからな。

「その話、詳しく聞かせてくれ」

「ええー、どうしようかなあ」

 春真は意地の悪い、僕を試すような目で僕を見る。やれやれ。

「しかたない。あいかむに寄るぞ。好きなもん食えよ」

「あいかむ!いいんですか!ありがとうございます!僕あの店行ったことなくて、気になってたんです!」

 あいかむとは僕たちの学校の近くにある洋食屋だ。安くてうまい上に自由に読んでいい漫画が1000冊くらい置かれている、この近辺ではかなり評判がいい店だ。

「構わないよ。その代わり、ちゃんと教えろよ」

「もちろんです!」

 春真は嬉しそうにニコニコしている。こいつ、無邪気に計算高いやつなのかもなあ。なんだか少しうらやましい。 

 

 あいかむの扉を開けて店内に入る。店員が僕たちにいらっしゃいませ、と声をかけてくる。その挨拶に軽く会釈を返して、春真と僕はテーブル席にかけた。

 春真は席に置かれている写真付き手書きメニューを見てどれを注文しようか考えている。

「決まりました。先輩は?」

「僕も決まっているよ。オムレツセットだ」

「じゃあそれを注文しますね。そういえば、オムレツの「レツ」ってどういう意味なんでしょうね」

「さあなあ。オムレツは、英語でオムレットという発音でそれが訛ってオムレツになったらしいんだけど。「オム」と「レツ」で分かれるのかどうかもあんまりよくわからないな」

「うーん、気になる。でもま、それよりも注文しちゃいますね」

 そういうと、春真は店員に声をかけた。切り替えの早い奴だ。しばらくすると店員が僕たちのテーブルに注文を取りにやってきた。

「ええと、オムレツセットとガルツセットをください」

 へえ、なんだか聞きなれないセット名だな。新メニューなのだろうか、などと思っていると、店員が困ったような顔をしている。

「ええと、お客様。ガルツセットというものはこの店にはないのですが、どれのことでしょうか」

 ああ、そういうことか。やれやれ。

【問】

〇春真が注文しようとしたガルツセットは本当は何という名前だろうか。