これが解けるか!

Can this be solved!

これが解けるか!

ゲームと学習

 久しぶりに実家に帰ることにした。家の前まで来ると、見覚えのある大きな黒い自動車が停められている。姉のものだ。どうやら姉も帰ってきているらしい。

 実家の玄関をくぐると、甥がいた。

「あ、はかせ!」

「おお、ナツも来ていたのか。久しぶりだな」

「うん!」

「ちょっとお邪魔していくよ」

 ナツはしばらくみないうちに少し大きくなったような気がする。そういえば、もう6歳になったんだったな。

 私は手早く用事を済ませた。帰宅する旨を父と母に伝えて玄関で靴を履こうとしていると、ナツがやってきた。

「はかせ、もう帰るの?」

「うん、用事は済んだからもう帰ろうかなと思っていたところだよ」

「えーっ」

 ナツは不服そうに口を尖らせた。

「どうしたんだ。何かしてほしいことでもあるのか」

「一緒にゲームしたい」

 目を輝かせながらナツはそう言った。すると、姉がキッチンからやってきた。

「だめだよ。はかせはゲームとかそういうものには興味がないからやりたくないっていつも言っているじゃないの」

「そうだけど……」

 ナツがまた口を尖らせる。

 ゲームか。昔は結構やったんだけど、あるときを境に全くしなくなってしまっていたな。でも、たまにはいいのかもしれない。

「仕方ないな。少しだけだよ」

「ほんと?やった!」

 ナツは大喜びだ。やれやれ、ま、仕方ないな。

 ナツに促されてテレビのある部屋に向かうと、すでにゲームが起動していてプレイしている途中で画面が停止しているようだった。

 ナツがコントローラーを操作すると、その画面が終了し、ゲームのスタート画面らしいものが現れる。

「はい、はかせ」

 ナツはそういって私にコントローラーを渡してきた。どうやって使うのかよくわからないが、ゲームが始まってしまった。

「ナツ、僕はこのゲームのルールも操作方法もわからないんだけど」

「あ、そうか。でも大丈夫だよ」

 ええ、何が大丈夫なんだろう。

 仕方ない、とりあえず適当に操作しながら慣れていこう。

「はかせ、ほら、ボタン押して!」

 あせって変な返事をしながら、いろんなボタンを押す。画面の中にいる赤い帽子を被ったひげのキャラクターがジャンプをして空中に浮いている箱にパンチをした。

 箱はいろんな数字がかしゃかしゃと入れ替わって表示されていたが、パンチを受けると入れ替わりが止まって一つの数字が浮かび上がった。3だ。

「あー、はかせ、少し遅いから小さいじゃん」

 なるほど、タイミングよくボタンを押して大きな数を当てに行けばいいのか。

 ナツも同じようにボタンを押して数字を決める。6だ。なるほど、大きい数字を狙ったのだろう。

 そんなことを考えていると、ナツが出した6と私が出した3が掛け算されて18と表示された。

「ナツ、これはいったい何なの?」

「この数の分だけ相手に攻撃できるんだ」

「なるほど」

 そういうと大砲の球で相手の陣地を攻撃し始めた。絵柄がかわいらしいし、流血もないし、コミカルな描写がされているが、よく考えるとなかなか恐ろしい絵面だ。

「なあ、ナツ。さっき僕の3とナツの6を組み合わせて18になっただろ?あれはゲームが勝手に数字を出してくれたけど、3と6を組み合わせると18になるのはなぜかわかる?」

「ううん、でも、なんとなく大きい数を取った方がいいんでしょ」

「そうなんだけど」

 ああ、もったいないな。

 しばらくゲームをやっていると、少しずつルールや操作方法がわかってきた。なるほど、やっているうちに何となくルールや操作方法がわかってくるように設計されているのかもしれない。言葉や音声で説明を理解することが難しい人たちも感覚的に理解して非言語的に勝利条件の論理を理解することができるという意味では、教育方法に応用可能かもしれないし、コミュニケーションツールとしてもありかもしれない。

 ゲームをそんな風にとらえる人がどれくらいいるのかはわからないが、そういう視点で設計されたものがあれば、ぜひ購入してプレイしてみたい。

 

【問】

〇なぜはかせは下線部のように思ったのか推測しなさい。

〇下線部のように思った理由を解消するためにできる工夫についてあなたの意見を述べなさい。

〇ゲームを学習(または教育)に活用する案を考え、具体例を提示しなさい。