これが解けるか!

Can this be solved!

これが解けるか!

ユニット折り紙1

 静かな休日の昼下がり、着信が入った。クマだ。通話パネルにタッチする。

「もしもし」

「ああ、はかせ?今どこにいる?」

陽気な声が受話器から聞こえてくる。クマは普段から陽気だが、今日はいつにもまして気分がいいようだ。

「自分の家だけどどうかしたのか?」

「今日は朝から珈琲豆を焙煎してたんだけど、ちょうどいい加減を見つけてさ。せっかくだし、はかせと一緒に一杯飲めないかなと」

「お、いいね。ぜひ。どうしようか。そっちの店に向かおうか?」

「いや、もう店を出ているし、ちょうどそっちに向かっているからはかせの家で飲めないか?」

「オッケー、じゃあ待ってるよ。あとどれくらいで……」

 玄関のインターホンが鳴る。まさかな。

 ドアを開けるとクマが立っていた。大きなため息をつく。

「えらく早かったな」

「だろ?ひとつ向こうの十字路くらいから電話したからな」

「やれやれ。ま、入れよ」

「おー、お邪魔します」

 クマを音楽室に通し、さっそく珈琲を淹れる準備を始める。珈琲を淹れるのは私だ。クマと私の間には暗黙の決まりごとがあり、自分のテリトリーでは必ず自分が珈琲を淹れるのだ。

しばらくすると珈琲が入った。二人ですする。

「おお、たしかにこれはうまいなあ」

「だろ?しかもあまり高くないんだ。店の看板メニューにしようかと思ってるんだ。珈琲の仕入れ値はあまり安定しないからあまり当てにすることはできないかもしれないけどな」

 そういってクマは笑う。それならそれでいい、ということなのだろう。私もそう思う。もし仕入れにくくなれば、他に安く仕入れることができるうまい豆を探せばいいのだから。

 彼の、こだわりはあるのにこだわり過ぎず、変わることを厭わない姿勢はいつ見ても気分がいい。

 話をしていると、クマが音楽室の端に置いている飾りに目を向けた。

「はかせ、これは何だ?」

「ああ、これはユニット折り紙というんだ。三か月ほど前に友達の子どもたちに一緒につき合わされたときにはまってしまってな。それ以来、仕事の合間の息抜きに作っているんだ」

「きれいだな」

「ありがとう。クマも作ってみるか?」

「そうだなあ、店をやりながら隙間時間で楽しめそうだしやってみようかな」

 クマはかなり手先が器用だから、私よりもずっと手の込んだものを作るかもしれないな。少し悔しい気がしないでもないが、どんなものを作るのか楽しみでもある。

「折り紙ならいっぱいあるから適当に持って帰ってくれてもいいよ。。珈琲をごちそうになったしな」 

「お、まじか。サンキュー。この作品に使われてる紙、なんかいい手触りと見た目の紙だなあ。和紙だよな、これ。」

「そうそう。これは和紙として売りに出すには少々難のあるものをメモ帳として使っているらしい」

 そういって、作品に使う前のメモパッドの状態になっている紙をクマに見せる。  

「こういう風にメモ帳になっているんだ」

「いいなこれ。でも、もったいなくてメモとして使うにはちょっと抵抗があるかも」

 クマがからりと笑いながら言う。

「そうだね。だから、メモとして使う場合は丁寧にひとことふたこと気持ちを伝えたいときとかにしか使わないな」

「いい使い方だなあ。こういう紙に丁寧な文字で気持ちを伝えられるとうれしくなるからな」

「だろ?僕もいい使い方だと思ってる」

 そういって私も笑い返す。

「この紙は9cm角なんだけど、これを30枚使って組み立てると今クマがもっているものになるんだ」

「なるほど。折る前の紙の大きさとほとんど同じ大きさだな」

「そういえばそうだな。ああ、そういえば、僕はこれを縦横3分の1にしたものでも同じものを作るんだけど、その場合、完成品の縦横高さは9cm角の折り紙を使ったときの何分の1になると思う?」

 

【問】3cm角の折り紙30枚で作ったユニット折り紙の縦横高さは、9cm角の折り紙30枚を同じ折り方で折って作ったものの何分の1になるか。