これが解けるか!

Can this be solved!

これが解けるか!

真夏のシリウス

 カブトムシとクワガタムシをたくさん採った後の帰り道、あっ、とナツが声をあげた。

「シリウスだ!」

 へえ、ナツは詳しいんだな、と私がいうと、ナツはうれしそうにうなずいた。それを見て私もうれしくなる。

 しかし、よく考えるとおかしいということに気が付いた。今は真夏だ。シリウスは太陽より少し早く東の空から昇り、少し早く西の空へ沈むはずなのだ。

「ねえナツ。ナツはどれがシリウスだと思うの」

 私はナツに尋ねた。

「あれだよ、ほら、白くてすごく明るい星」

 ナツは南の低い空を指す。ああ、確かにとても明るく輝く白い星だ。しかし、あれはシリウスではない。位置関係からしてあり得ないし、シリウスにしては明るすぎる。

 金星か、と一瞬考える。しかし、それも考えられない。今のこの時期には金星は明け方にしか見えないはずだからだ。

 そして、色は赤褐色ではなく白色、となると、たぶんあれは木星だろう。

「ナツ、あれはシリウスじゃないんだ。シリウスはもう太陽と一緒に空の向こうに行っちゃってるはずだから。たぶん、あれは木星だよ」

 私がそういうと、ナツはとてもびっくりしたような声を出し、しばらく私の方をじっと見た。

「あれはシリウスだよ」

 ううむ。なぜそこまで自信をもってシリウスだと思っているんだろう。

 しかし、よく考えたら、私が知識として知っていることが本当に事実かは私には調べようがないということを考えると、あまり断定的に言ってしまうのも行儀の悪いことのような気がして気が引けてしまう。シリウスでなく木星だと思っているあの白い星が本当に木星なのか、知識以上に説得力のある経験や認知を以て主張できるわけではない。

 私だってわかっていないといえばわかっていないのだ。とりあえず、きちんとナツの意見を聞いてみよう。

「ナツ、なんであれがシリウスだと思うんだ」

「シリウスは一番明るい星だから。あの星が空の中で一番明るいもん」

 なるほど、確かにそのとおりだ。太陽を除けば、シリウスは全天で最も明るい恒星なのだ。

「なるほど。よくそんなことを知っているね。誰かに聞いたのか」

「はかせがこないだ話しているのを聞いたんだよ」

 そうだったっけ。誰かと話しているとき、近くで一緒に聞いていたのかもしれないな。

「それにシリウスは白く光るっていってたじゃない」

 ああ、たしかにシリウスも木星も白く輝く。よく覚えているし、よく観察しているんだなあ。

「よく勉強してるな。偉いぞ、ナツ。ただ、ちょっと僕の伝え方がよくなかったかもしれない。シリウスはたしかに空の中で一番明るいけど、それは「太陽以外の星」の中で「自分で光を出す」星の中では一番明るいということなんだ」

「どういうこと」

「木星は自分自身では光を出していないんだ。それでもシリウスより明るい。シリウスよりも明るい星はいくつかあるんだよ」

「ええー」

 ナツはまだあまり納得いっていないようだ。

「木星は太陽の光を跳ね返して明るく光っているように見えているんだ。自分で光をださない星も含めると、シリウスより明るい星は太陽以外にもいくつかあるんだよ」

「そうだったんだ」

 ナツは純粋に感心したように私の顔を見つめている。

「太陽、月、金星、木星、火星の順に明るくて、その次にシリウス、その後にはカノープス、土星、アークトゥルス、リゲルとかが続くんだ」

 ナツは関心して何度もうんうんと首を縦に振って話を聞いていたが、あれ、と言って首を傾げ始めた。

「ねえ、はかせ。どうして自分で光らない星があるの」

【問】

○自ら光を発さない天体は、なぜ自ら光を発することができなかったのか

○自ら光を発さない天体は実は全天体の数の大部分を占めていると考えられている。その理由を推測せよ。