これが解けるか!

Can this be solved!

これが解けるか!

カブトムシとクワガタムシ

 里海公園内の茂みの前にやってきた。時刻は19時50分。日没から半時間ほど経ったが、空はまだかすかに明るく、美しい紺色が広がっている。

茂みの中に入っていく。足元からパキッという音が小気味好く響く。身体が背丈の高い草や、木の枝葉に触れてがさがさと音を立てて揺れる。

茂みの中に入ると足元が見えにくいので、流石に少し危なっかしい。

手に持った懐中電灯を点ける。ぱっと手元が白くなる。その光は手元だけでなく、茂みの奥まで照らし出した。

「さあ、行こう」

足元に注意しながら先日、樹液が出ていることを確認した木へ向かって歩を進める。

「ねえ、はかせ。いるかなあ」

ナツが私に尋ねる。

「どうだろうなあ。こないだ下見をしたときに樹液が割とよく出ていたから、たぶんいると思うんだけど」

「いるといいなあ」

「そうだね」

 しばらく無言で歩き続けると、目当ての樹が見えてきた。遠目に見ても虫たちが樹の周りに集まっているのがわかる。ナツがおお、と驚いたような、あるいは喜んでいるような声を出す。

「はかせ!たくさんいるね!」

「うん、カブトやクワガタもいるかな」

 樹の目の前に着いて樹を確認する。

 いた。カブトムシだ。カナブンや蛾やスズメバチやカミキリムシなどに混ざってかなりたくさんいる。

「はかせ!たくさんいるよ!早く採ろう」

「そうだね。でも、スズメバチもいるからゆっくり採ろう。慌て過ぎて足を滑らせたり手を怪我したりしてもよくないからね」

「うん。スズメバチに刺されると死ぬこともあるんでしょ」

「そうだね」

 確かにそうだ。もっとも、たいていのスズメバチは夜目が利かないので夜にはあまり活動的でなくなり、比較的おとなしくなるが。しかし、このことをナツに伝えると、油断するかもしれないし、好奇心が勝って危ないことをしてしまうかもしれないから黙っておくことにする。いつかこういうことについても話せるときがくればいいな、と思う。

「怖いね」

「その怖いという感覚はとても大切だよ。そういう感覚があるから、僕たちは危ない目に遭う前に逃げられるんだ」

「うん」

 それからしばらくの間、カブトムシとクワガタムシを採った。きりがいいところで切り上げないとな。

「ナツ、もう十分採ったからそろそろ帰ろうか」

「ええー」

 ナツは少し不服そうな声を出した。

「これくらいにしておく方がいいんだよ。採りすぎるとほかの人たちの分がなくなるし、来年より後にカブトムシとクワガタムシが減ってしまうかもしれないから」

「そっかあ。わかった」

「じゃあ帰ろうか」

 茂みの中を歩いていると、そういえばさ、とナツが言った。

「なんでカブトやクワガタを採りすぎると来年より後に数が減ってしまうの」

 えーっと、なんて説明しようかな。もと来た道の方へ戻りながら説明を考える。西の空にはとても明るくて白い星がまだ輝いている。

 

【問】

○カブトムシやクワガタムシを採りすぎると来年以降に数が減ってしまうかもしれないのはなぜだろうか。ただし、ナツと私が多少採りすぎたくらいでは来年以降の数にはほとんど影響がないものとする。